いよいよ2023年7月1日からGoogleアナリティクスが提供していた分析ツール、「ユニバーサルアナリティクス(UA)」から「Googleアナリティクス 4 プロパティ(GA4)」への本格的に移行されます。
そこで今回はUAとGA4の違いについての基本編について解説していきます。
GA4の歴史
UAとGA4の違いについて解説する前に、GA4の歴史を見ていくことで理解が深まります。ここで少しGA4の歴史について振り返ってみましょう。
GA第1期 (2005年〜2007年):
GAは、2005年にGoogleがUrchin Software Corporationを買収したことから始まりました。当時、ウェブの分析に使われていたUrchinは有料でマーケターが使っていましたが、Googleが買収したことによりGAとしてリリースされ、無料で使用できるようになりました。
2005年以前は、主な指標はPV数やヒット数でしたがGAへ進化するにあたりセッション数やユーザー数も確認できるようになりました。
ちなみに現在パラメーターについている『utm_source=』のutmは「Urchin Traffic Monitor」の略です。今でも唯一残っているUrchin社の名残となっています。
GA第2期(2007年〜2012年):
2007年からGAの第2期が始まり、GAはさらに進化していきます。イベントトラッキングや、eコマースの機能が新しく増えました。
イベントトラッキングの背景:
従来のGAでは、ページビューやセッションのトラッキングが中心でした。しかし、ユーザーの行動やインタラクションに関する詳細なデータが必要となるにつれて、イベントトラッキングの重要性が高まりました。
イベントトラッキングでは、特定のアクションやイベント(クリック、ビデオ再生、フォーム送信など)が発生したタイミングや詳細が記録されます。これにより、マーケターはユーザーの行動パターンやコンバージョンの経路を正確に把握し、顧客の意図やニーズをより深く理解することができます。
eコマースの機能の背景:
オンラインショッピングの急速な成長に伴い、eコマースのデータ解析とトラッキングの重要性が増してきました。マーケターは、顧客の購買行動や購買経路を把握し、効果的なeコマース戦略を立案する必要があります。GA4では、eコマースのトラッキング機能が大幅に強化されており、以下の要素が注目されています。
- 商品とトランザクションの追跡: GA4では、個々の商品やトランザクションの詳細なデータを追跡することができます。具体的には、購入された商品の種類、価格、数量などの情報が収集されます。これにより、マーケターは売上データを詳細に分析し、需要の傾向や優れた製品カテゴリを特定することができます。
- 購買経路の可視化: eコマースのトラッキングにより、顧客の購買経路を詳細に追跡することができます。具体的には、顧客がサイト内でどのページを閲覧したか、どの商品をカートに追加したか、どの支払い方法を選択したかなどの情報が収集されます。これにより、マーケターは購買の際の顧客の行動パターンを把握し、サイトの改善やパーソナライズドなアプローチを展開することができます。
GA第3期(2012年~2019年)
2012年にユニバーサルアナリティクス(UA)がリリースされました。クロスドメインやクロスデバイスでの計測ができるようになりました。その背景にあるのがデバイスの多様化です。PCだけでなくスマートフォンやタブレットなどの登場により多くの機能が追加されました。
第1期~第3期までにGAは時代の流れとともに進化していき様々な機能を携えてきました。
そして、新たに誕生したのがGA4です。
第4期(2020年〜現在):
2020年にGA4(Google Analytics 4されました。GA4は、GAの最新バージョンとして登場しました。GA4は、データモデルとイベントベースの追跡を導入することで、従来のUAとは異なるアプローチを提供しています。
UAではセッションとページビューが中心でしたが、GA4ではユーザーセントリックなデータモデルにより、ユーザーが実際に行ったイベントやアクションを詳細に追跡することが可能となりました。これにより、マーケターはユーザーの行動パターンをより正確に理解し、パーソナライズされたマーケティング戦略を展開することができます。
UAからGA4に移行する背景
歴史を振り返るとGoogleは社会や消費者行動の変化によってGAを進化させてきているのがわかります。
今回UAからGA4に移行する背景としては、以下にあります。
個人情報保護の規制
世界中で個人情報保護についての規制が厳しくなってきました。
Googleも個人情報の規制を受けてサードパーティーcookieによる追跡や、IPアドレスの収集をやめ、よりプライバシーに配慮したデータの取得方法へ変更されました。
アプリ+ウェブ ユーザーの行動の変化
スマートフォンの普及によりウェブ上でのユーザーの行動に変化が生じました。それまでウェブのみで完結していたユーザーの行動がアプリを横断するようになりました。
しかし、UAではウェブ+アプリのアクセス解析が難しくユーザー判別が出来ないという問題がありました。
そこで、GA4ではウェブ+アプリの横断した解析ができるようになりました。
UAからGA4へ 主な新機能の追加
UAからGA4へ移行するにあたり新しい機能の追加や、これまで有料であった機能が無料で使えるようになりました。
ウェブとアプリ分析の一括管理
先述したようにこれまでウェブとアプリを横断すると解析が難しかった点があります。ウェブはGoogleアナリティクス、アプリの分析にはFirebaseというツールを使うひつようがありました。
今回のGA4の登場により上記の2つのツールを使い分析するのではなく、一括で管理できるようになりました。
BIgQueryが無料で使えるようになった
BIgQueryとはビックデータを高速分析するための解析ツールです。これまでのUAではBIgQueryは有償のオプションとして使用するとことができました。。
しかし、今回のGA4移行に伴い無償で連携することができるようになりました。(無料は連携のみでデータ処理を行うと料金がかかります。)
BIgQueryはSQLを使うことにより様々な分析ができるようになります。無償で連携できるようになり、ますます高高度な分析が行われていきそうです。
機械学習の導入
GA4には機械学習が導入されました。機械学習を利用することにより未来予測が可能になりました。未来予測を行う指標は
- 購入の可能性
- 離脱の可能性
- 予測収益の可能性
参照:GA4予測指標
https://support.google.com/analytics/answer/9846734
これらを指標に自社サイトで購入してくれそうなユーザー、自社サイトを離れていくユーザー、今後の一か月で上げられる収益を予測できるようになります。
その他にも、機械学習を利用した機能としては
・異常値の検出
・欠損したデータの補完
などがあり、今後もさらに機能が充実していきそうです。
UAとGA4の違い
GA4にアップデートされてUAとくらべて構造が大きく変わりました。
ここではUAとGA4の主な違いを見ていきましょう。
セッションからイベントへ
UAとGA4では分析軸が変更されました。
UAの分析軸は「セッション」や「ページ」に主な分析軸として設計されました。GA4ではユーザーのイベントを主軸にした分析方法になりました。
・UAのセッション、ページ、イベント
セッションとは、ユーザーがウェブに訪問してから離脱するまでのことを言います。(=1セッション)その過程の中で、次のページに遷移した場合にページビュー数1となります。そして、スクロール、クリックをイベントとして計測してきました。
UAのイベントはどちらかというとサブ的な機能でした。
GA4のイベント
UAでウェブサイト内の行動を計測するには十分でした。アプリやSNSの登場によりユーザーの行動が複雑化しました。ウェブだけでコンバージョンをだし完結するのではなくアプリやSNSを横断してコンバージョンに至るなどユーザーの行動が変化していきました。
そのためGA4ではセッションという概念をなくし、ページビューもクリックもスクロールも全てイベントとして統一し、アプリやSNSに横断した場合でもユーザーの行動を追えるようにしました。
アカウントの構造の変更
GA4ではアカウントの構造が変更されました。
アカウント構造の変更により、ひとつのプロパティの中にウェブサイトやiOSアプリ、Androidアプリといったデータストリームを内包することで、サイトとアプリを横断した計測や分析が可能になりました。
UAのアカウント構造
UAのアカウント構造は「アカウント > プロパティ > ビュー」です。
1つのプロパティに1つのトラッキングIDがありました。
GA4のアカウント構造
GA4のアカウント構造は「アカウント>プロパティ>データストリーム」
プロパティの中にデータストリームがあります。データストリームにはウェブ用、android用アプリ、ios用アプリなどそれぞれ違うIDを持っています。
UAにあったビューの概念がなくなり、Webサイトのアクセス解析をだけを目的にした構造から、データストリームによってウェブ+アプリでのユーザー行動の解析に変更されました。
エンゲージメントという概念
GA4から新たにエンゲージメントという指標が追加されました。
Google アナリティクス ヘルプ「エンゲージメント: 定義」によると、エンゲージメントとは「サイトやアプリに対するユーザーの操作」であると記載されています。
要は『ページの閲覧』『ページ内のクリック』『スクロール』といったユーザーの行動が全てエンゲージメントとして計測されます。
UAでの直帰率の曖昧な点
では、なぜエンゲージメントが新たな指標になったのでしょうか。
それは、UAでユーザーの行動を評価すつ際の指標の一つとして見られている、直帰率に関係しています。直帰とはウェブページに訪問した際に、1ページ目のみ見ただけで離脱することを言います。
例えば、ユーザーがウェブページに訪問してすぐに離脱する場合、とユーザーがゆっくりとスクロールしながら満足して離脱する場合、ユーザーの検索ニーズの満足度が違うとしても1ページで離脱した場合は数値的には直帰として数えられてしまいます。
GA4では上記のように満足度の高い低いといったことをエンゲージメントという指標で計測するようになりました。
GA4におけるエンゲージメントセッションの条件
エンゲージメントの条件とは何でしょうか。
[GA4] エンゲージメント概要レポートには以下のように記載されています。
・平均エンゲージメント時間
・セッションあたりの平均エンゲージメント時間
・エンゲージメントのあったセッション数(1 ユーザーあたり)
参照:[GA4] エンゲージメント概要レポート
上記条件が該当しない場合は直帰したセッションとして測定されます。
UAとGA4の違いのまとめ
GAはテクノロジーの進化やウェブ上でのユーザー行動の変化によって柔軟にアップデートされてきました。
これまでのGA第1期~第3期までのアップデートとは違い、GA4はそれまでの概念や指標、名称など大きく変更となりました。
今後も上記の以外の追加の機能や変更はあるかと思いますが、早めにUAからGA4に移行し対応しましょう。
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